大人のADHD(発達障害)の診断と、うつ病や双極性障害の関係性については非常に密接に関わりがあるという論文があります。
双極性障害患者の23.3%に成人ADHDが認められた。
引用元:ケアネット 原文(双極性障害患者における成人の注意欠陥/多動性障害の併存症)
・成人ADHD合併の有無で、双極性障害患者の社会人口統計学的特性に相違はみられなかった。
・成人ADHD合併患者は、成人ADHD非合併患者に比べて最低1年間留年している者が多く、その差は統計学的に有意であった。
・成人ADHD合併群は、成人ADHD非合併群と比べて双極性障害発症年齢が有意に低く(p=0.044)、躁病エピソードの回数がより多かった(p=0.026)。
・成人ADHD合併群ではパニック障害(p=0.019)が、小児ADHD合併群では強迫性障害(p=0.001)が最も高頻度にみられた。
・双極性障害において成人ADHDは頻度の高い合併症であり、双極性障害の早期発症、多い躁病エピソード、Axis Iに分類されることなどと関連していた。
双極性障害について
うつ病精は精神疾患の中でも気分障害と分類されている疾患の一つで、うつ状態だけが起こるものを指します。
それに加え、そう状態と交互に繰り返す病気を「双極性障害(躁うつ病)」と言います。双極性障害はその状態によって「双極 I 型」と「双極 II 型」に分類されます。
双極性障害(躁うつ病)は、躁状態とうつ状態という、2種類の「病相」1を繰り返す病
引用元:大学病院医療情報ネットワークセンター
気です2。これらの病相が治った後は、精神的な症状は全くなくなります。これらの病相が
1回で終わることは少なく、予防療法をせずに放っておくと、多くの場合再発し、年と共
に再発までの間隔が短くなる傾向があるため(図1)、ふつう予防療法を行います。再発は
治療により予防できます。
はっきりした躁状態がある場合は双極 I 型障害と呼ばれ、軽躁状態3とうつ状態を繰り返
す場合は、双極 II 型障害と呼ばれます。軽躁状態は、むしろ調子の良い状態と感じるので、
双極 II 型障害は、本人や周囲の人にとっては、「うつ病」と感じられます。しかし、双極
II 型障害ではうつ状態が再発しやすいことから、双極性障害に含めているのです。
躁状態とうつ状態どちらの場合も重症化すると、いずれのことが見られる場合があります
- 妄想(現実ではないことを信じてしまう)
- 幻想(実際には存在しない声が聞こえる)
また、躁状態では誇大妄想(自分には特殊能力がある)が起こりやすくうつ状態では貧困妄想(破産した)心気妄想(不治の病にかかった)罪業妄想(大変な罪を犯した)などの特徴が見られます。
うつ状態になると、憂鬱な気分が続き、外部の刺激に鈍感になり、食欲不振や不眠状態が続きます。集中力や決断力、判断力が鈍くなり、疲れやすく行動をするのが億劫になります。
躁状態では、気分の高揚が起こり外部の刺激に敏感になり、思考力の向上や行動力の向上が感じられます。その一方で、注意力が散漫になり軽率な行動や自制心の欠如などが見られます。
双極性障害の原因について
双極性障害はどうして起こるのでしょうか?
うつになる原因の1つとして、脳内の情報伝達の乱れによると考えられています。メカニズムについてはまだ解明されていませんが、仮設としてノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質(モノアミン)が各神経細胞の末端にあるシナプス(神経細胞の接合部)で減少した場合にうつ状態に陥ると言われています。
また、特定の遺伝子があればかならず発症するというような遺伝病ではありません。ストレスがきっかけになるものの、直接的な原因ではなくまだまだ未解明の部分が多いです。
双極性障害の治療において最も重要なのは再発を予防することで、具体的には「薬物治療」と「心理社会的治療」が用いられます。
双極性障害と薬について
双極性障害は放置すると再発を繰り返しやすくなりますが、再発予防となる薬が多数あり、早期に正しい治療を開始すれば症状をコントロールしながら普通の生活を送ることができます。
その薬にはリチウムを初めとする気分安定薬と呼ばれる薬およびオランザピンなどの非定型抗精神病薬が用いられます。
リチウムは食塩と同じようなミネラルで、ミネラルウォーターなどにも極微量ながら含まれています。食品では小魚、貝類、海藻などに多く含まれていて、双極性障害だけでなく65歳以上の高齢者の20パーセントが罹患する認知症、アルツハイマーなどの精神疾患においても予防が可能であると言われています。
ただし、血中濃度が高くなると副作用が起こりやすく以下の症状がでることがあります。
- 手足の震え
- のどの渇き
- 下痢
- 尿量の減少
双極性障害の心理的治療について
当事者自らが学習し、理解することでセルフコントロールを促します。
また、再発防止のために家族の強力が不可欠となるため家族療法という治療方法もあります。うつ状態より躁状態のほうが軽視され嫌煙される事が多いので、ストレスの悪循環を断ち切るために家族も受診してみんなで治療していきます。
対人関係や生活リズムの乱れにより症状が悪化するので、周囲の人間関係の回復や社会リズムを整え修正していくリズム療法もあります。